可哀想、だなんて思って欲しくない。
それでも、だなんて言って欲しくない。
お願い、拓。
言わないで、言わないで…。
私は、貴方の愛があるならば、良いのだから──────。
『さくら』
気付けば、既にもう、抱きしめられていた。
動揺の色は、見えない。
何色とも。
『拓……』
見えるのは、濃いサクラ色。
私の赤が移ってしまったのかしら。
燃ゆる、サクラ。
『分かった。では、さくらが大丈夫と言うならば、いつまでも西条に居て良いぞ』
『本当に?』
思わず、埋めていた顔をあげて、拓を向ける。
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