『わかった。けれど、時間を置けよ?』
『はいっ!わかりました』
拓の裏返しの愛に、ひっくり返してようやく分かる、遠回しの愛に、酷く嬉しくなる。
訳のわからぬ、嬉しい気持ちが胸の底から沸き上がる。
『では、失礼します』
ニコニコしながら、頭を下げる。
本当に、可愛いわ。
『また後でな』
『ば、ばいばい。秀介くん』
慌てて拓の後に続ける。
するとやっぱり一瞬、ほんの一瞬だけ、私を映した瞳は、牙を剥いていた。
銀の刀を私に向ける。
冷たい、感情を。
そうして、私たちを背に、桜が咲き誇る方へ歩いて行った。
──────その花は、何の花かしら?