『兄さま?』
『なんだ?』
『この人、どなたですか?』
今更?なんだけれど。
ずっとずっと放置されて、挙げ句の果てには、気付かれて無かったなんて…!!!!
ま、おかげで、かなりぼっとしながら、秀介くんを観察出来たわ。
『秀介、こちらは南高校一年生、成宮白純美さん』
『は、白純美です。どうも』
軽く頭を下げる。
けれど、冷たい視線に気付いてちらっと秀介くんの顔を見る。
眉間にシワを寄せ、気にくわない顔で私を見ていた。
『白純美?』
『う、うん。よろしくね、秀介くん』
秀介くんの瞳は私から外れて、拓を映した。
『兄さま、どこかのお嬢様なのですか?』
そう尋ねた秀介くんは、「お嬢様なんかじゃないよね?」ひっくり返したらそう聞こえるような言い方をした。