「危ないよー」

後ろから友人が声をかける。

でもそこに
帽子は見えているのに。

諦めきれずにもう一歩。

草の間に足が沈む。
地面はどこ。

光があたらないのか
じめっとした感触に
涙が出そうだった。


「樹ー」

誰かの声と同時に
がさがさと
草を踏みしめる音がした。