遥か彼方の海岸線。

鳥の歌う声。

春には新緑が香り
夏には高く広い空が
みのりを包み込む。


家よりここが
大好きだった。

ここにきて目を閉じれば
みのりはどこへでも
旅をすることができた。

ある時は鳥になって
空を羽ばたき
ある時は船に乗って
彼方に見える海岸線の
向こうまで航海する。

飽きるくらい友達と
ここで遊んだ。

ブランコを
どこまで高くこげるか競い合い
鉄棒で逆上がりができたと
はしゃいだ。

こっそり家を抜け出して
夜中に花火をしにきたことも
あったっけ。