仕事を始めたばかりの頃は
よくここを訪れた。

遥か彼方まで続く海と
どこまでも広い空が
自分を導いて
くれる気がしたから。

最近はそれも落ち着き
仕事に没頭する日々だったが
今日は出先が近かったので
久々に訪れたのだ。


階段の向こうへ
見送ったみのりのことを
門倉は考えた。

あの後姿を見送ったのは
何年前だっただろうか。