初めてキスをした時
初めて肌を重ねた時

聞くことができずに
ずるずるときたのだ。

でももう今では
聞くこともできない。

チャンスは今まで何度か
あったのに
ずっとみのりは
それを逃してきた。


せめて相手の
幸せを願えるような
女性でありたかったのに。


早いうちにここを出よう。


思い出ばかりの故郷は
辛い気持ちばかり膨らむ。

そしてまた
2人だけの日常に戻るんだ。


隣で眠る樹をみのりは
横目で見つめた。



幸せになろう
もっと、もっと。