階段を下りると
みのりの車以外に
もう一台。


見たことのない
白のワゴン車だったが
門倉のものに違いない。

みのりの知らない
門倉の何年かを
この車は知っているのだ。


遊び疲れたのか
チャイルドシートに
樹はおとなしく座った。

みのりがあげたビスケットを
食べながら
目がとろんとしている。

ほっぺたをつつくと
不機嫌そうな顔をした。

「樹の目はパパにそっくりね」