昔想像した未来の方が
よっぽど現実的だ。

こんな未来を
誰が想像しただろう。


自分の傍らに座る者の名前を
自分の子供の名前として
呼ぶなんて。

「はい」

いつの間にか
樹が目の前に立っていた。

小さい黄色い花を
みのりに差し出す。


目も、鼻も
まゆげも、口も
髪の毛一本まで
愛おしい。

わたしの、子供。


樹のいない未来を
もう
みのりは想像することが
できなかった。

「キレイ、ありがとう」

小さな手がぎゅっと握って
首をかしげた小さな花を
みのりは受け取る。