あぁー、やっと着いた
やっぱり一人で歩くと遠いな
賢二は鍵を取ろうとポケットに手を入れた。
やばい……鍵がない
賢二は家の前でポケットの道具を全部ギターケースに並べたが見つからなかった
またあそこまで戻って探すのもやだけど、電話して姉ちゃん起こすのはもっと嫌だな
ギターケースに並べたポケットの中身を外灯で一つひとつ確かめた
学校の近くのコンビニのレシート。学校で配られたプリント類。ガムの空など、その他もろもろ。
ポケットに入れるときは全部大切に思えたけど、改めてみると全部ゴミにみえた
座りこんで冷たいはずの地べたが何故か気持ちよかった。
どうせだからと道路の真ん中で寝転んでみると、やけに月がきれいにみえる。
遠いなぁ……どんなに頑張っても届かないんかな。
こんなに近くにいるのに向こうは気付きもしてないんだろうな。
目を閉じると遠くの車の音がよく聞こえる。
このまま僕が死んだら、姉ちゃん泣いてくれるかな