今日は賢二が最近はまっている路上ライブを初めて見にきた。



自分が歌うわけではないのに私が緊張してしまう




賢二は隣にいる私の顔を見てニコっと笑いながらギターケースを開けた。



12月の寒空に賢二の息が白くなった。





初めて賢二が自分で作った歌は『叶わない恋の歌』




とてもうまいとはわけではない歌声とたまに外れるギター音は私にはとても心地よかった。






『ろうそく』と名付けた歌は、いつ消えてしまうかわからない不安と温かいぬくもりがよく伝わってきた。




「賢二寒いでしょ、私暖かい飲み物買ってくるよ」




頑張ってる賢二に何かしてあげたかった。





「姉ちゃんいいよ、寒くないからさ。隣にいてくれれば暖かいしさ」





弟の言葉にドキっとした自分が恥ずかしかった。ちょっとカズヤに悪い気がした



「馬鹿なこと言わないの!私が彼女に怒られるよ。すぐ側にコンビニあるから買ってくるね」





こんなに寒い夜空なのに、顔が熱くてしかたないよ