「か、かつら……」
 机にもたれるように仰け反る俺の脚に、いつの間にか桂の太股が絡んでいた。捲り上がったスカートの合間からちらちらと白い脚が覗き、慌てて目をそらす。
「清貴は、セックス、したことある……?」
 飲み込んだ唾液の音さえ聞こえてしまいそうな距離で、桂の甘い吐息が頬を掠めた。うまく呼吸ができない。酸欠で軽く目眩すらした。
 もう駄目だ。俺は固く目を閉じた。
 すると、それまで俺に覆い被さっていた体温が途端に遠のいた。合間に空気が入り込みその温度差に寒さすら感じる。
 驚いて目を開けると、そこには数十秒前まで俺に迫っていたことなどまるで感じさせない、あっけらかんとした様子で乱れたスカートを正す桂がいた。
 どういうことなんだ。さっきのは一体なんだったんだ。
 声も出せずすっかり腰を抜かしかけている俺に、桂は俺が見慣れている、子供のような純粋無垢な笑顔を見せる。そして腰を屈めて顔を寄せ、言った。
「神崎先輩からの告白なら断ったよ」