桂と出会ったのは、制服から真新しい匂いのする春先のことだった。入学式を欠席し、女子たちがそれとなく身を寄せるグループを固め始めた新学期開始3日目に、あっけらかんとした表情で教室に踏み入れた彼女はそこにいたクラスメートの度肝を抜いた。
 毛先を一直線に切り揃えた黒髪。膝より僅かに高い位置にあるプリーツスカートは、髪の毛と同じタイミングでさらさらと揺れる。
 肌はただ白く、その姿はどことなく日本人形のような風を思わせて内心軽い恐怖感さえ覚えたものだ。
 ゾッとするほど、女子に嫉妬の気持ちすら忘れさせるほど、桂は綺麗だった。