目の前がピンク色で
染まっている。


それは恋をした―とか
そういう浮ついた
理由ではなくて、
視覚的にだ。




大きな桜を教室から
眺め、風景を楽しんむ。

その姿は授業中には
相応しくない光景だろう


そんなことを
思いつつも
そのまま授業を聞かない
あたしは反抗期?



「―んで…あるからにして―…」


ばれてないかと
先生をちらりと見ると、
先生は口早に喋りながら、引っ切りなしに
生徒の顔を見て、
口角を上げていた。





4月の上旬。


真新しい制服に身を包み、あたし、神崎美侑(かんざきみう)は高校生となった。



空は太陽がこれでもかと
いうほどに熱気を放ち、
雲はそれから逃げるようにして端に集まっている





ジューッ


空になったパックの苺ミルクを、机の横に掛けた袋の中に入れると、
カサカサっと無機質な音がした。



「そこ、うるさいぞ!」




先生はあからさまに
怪訝な顔をして
あたしを見た。


「…はぁーい」



だらけた声で返事を
すると、先生はため息を
ついたが、授業を
始めだした。