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「春兄、ケチャップ取って下さい」


赤塚日和(あかつかひより)17歳。只今青春真っ只中にいる至って普通な女子高生。


「はいよー」


赤塚小春(あかつかこはる)21歳。マイペースで優しい兄。春兄、はるにーが呼び名。大学生。


「あらー、天咲君はぁ?」


二人合わせて「小春日和」なんて単純思考の名付けをした母親。42歳には見えない格好が専門分野。



「秋人、また寝たんじゃない?日和起こしてきなよ」


春兄はほんわりと笑ってあたしに声を向ける。



「なんで私が行くんですか。嫌です。春兄行って下さい」


思い切り嫌そうな顔をしたあたしに



「だって秋人日和の部屋でしょ?俺立ち入り禁止じゃなかったけー?」



ああ、恨めしい。2日前の『日和のプライバシー保護条約その1』。