「失礼します。」
「あぁ・・・龍遜寺先生。
どうされたんですか?」
と、枯れてはいるが張りのある、
綺麗な女の人の声がした。
「本日転校される、
滝塚財閥のご令嬢。
綾部 紗月様をお連れいたしました。」
「・・・・そうですか。
ご苦労様でした。
どうぞ。お入りください。」
『はいッ!』
声に誘導されるがまま、
中へと入る。
中にいたのは、
私より3歳くらい年上の女性。
そして、私の前にひろがるのは、
無駄に広い部屋。
シャンデリアが輝き、
お高そうなつぼと、
アンティークの家具が輝いている。
校長先生がすわるのは、
大きな革の椅子。
そのまえには、
白い大理石でできた大きな机。
ワインレッドのじゅうたんが
すべての家具を引き立たせる。
「あなたが、滝塚財閥のご令嬢の方ですね。」
『えっ・・・あっはい。』
私は龍遜寺先生の手にひかれて、
校長先生のまん前に立つ。
「おや?
まだ、あなたのお父様から、
説明をうけていないようですね?」
『えッ・・・?』
「そこのソファにおかけなさい。
私が、説明してあげるわ。」
『はいッおねがいします!!』
いわれるがまま、
フカフカのソファに腰掛けた。
私の隣には、
龍遜寺先生。
目の前には、校長先生である。