「まぶし…。」

暗闇から突然射し込んだ光に目を細める。

そしてドアからのびる人影に気付き、霞む瞳のまま頭を下げた。

「あの、突然お伺いしてすみません。私、家政婦募集の広告を見て伺って「血が…」」

(…えっ?)

柔らかいエリザの声に交わる低い声。

突然囁き声が聞こえ、思わず顔を上げてしまった。
瞳に映ったのはボヤける人影。

(…男の人かな?よくわかんないけど…この家の人だよね。)

光で眩む目を大きくに見開き、影の人物を必死に捉えようとする。

そして影が定まってくるうちにエリザは鼓動が速まるのを感じた。

影から浮かび上がったのは一人の男。

グレーのニットセーターを着た上からでもわかる、鍛え上げられたバランスの良い長身。

男らしい顎のライン。くっきりとした高い鼻梁。ふっくらした綺麗な唇。

瞳は…どこか不思議。

 マゼンダにブルーを混ぜた様な、鮮やかで曇りの無いバイオレット。

そんな独特なな瞳を怪訝そうに細め、血管の浮き出た真っ白な首を何か考える様に傾げる。

妖艶な雰囲気をまとい、エリザを射るように見つめながら。

(人間じゃ…ないみたい。)

完璧。身体も顔も…全て完璧。作り上げられた外形は美しく圧倒的だ。

 完璧すぎて…恐ろしい。