芦多が持っているものよりも、長い。



「どうぞ。」



しげしげと刀を見定める芦多に、灯世は刀を差し出した。



芦多は恐る恐るそれを手にとる。



ずしりと重い気がした。



「見事な…。」


「きっと、一流の職人さんが鍛えられたんでしょうね。」



芦多は刀を鞘から抜いた。



シュルンという音が耳に心地よい。



歓声が沸いた。



「よくやった!」



聞き覚えのあるがらがら声の方向を見ると、政隆が拳を振り上げていた。



「政隆様、芦多様が戦っておられる最中、ずっと息を止めてらっしゃったんですよ。」



クスクスと笑いながら、灯世は言った。



「本当に芦多様のことを可愛がってらっしゃるんですね。」




芦多は照れくさくなって俯いた。



「それじゃあ、また後で。」



灯世はスッと戻っていった。



見送った芦多に、白柄彦がこそっと囁く。



「お前達、妙に仲良さ気だったな。」



禁断の恋か?と色っぽく囁かれ、芦多は急いで身を離した。



何を言いだすかと思えば。



白柄彦は案外野次馬なのかもしれない。



気をつけよう、と芦多は心に決めた。