第一ブロックを勝ち上がってきた芦多。



そして、第二ブロックを勝ち上がってきた白柄彦。



優勝決定戦となると、会場の盛り上がりも違い、歓声がわんわんと響いた。



その喧騒に気を散らすでもなく、二人は二人の試合に入っていた。



最初は好き勝手に野次を飛ばしていた観客も、空気にのまれてだんだんと静かになる。



今や、みんな息を詰めて二人に注目していた。



電光石火、白柄彦が槍を突き出した。



芦多はサッと後ろに下がる。



そしてくるりと身体を回転させて、槍を叩く。



二人は互いに体制を整えて、見合った。



見ているこちらが緊迫してしまう。



再び、白柄彦が仕掛けた。



今度は芦多も避けるだけではなく、反撃した。



槍のぶつかり合う音が響く。



そのまま激しい攻防戦が始まった。



会場の歓声も音量を増していく。



政隆もそれに加わっていた。



「いけッ、いけッ!
芦多、今だ!」



灯世は政隆の声を横に聞きながら、固唾をのんで芦多を見守った。



声が出せない。



出るのは、芦多が攻撃されたときに出る悲鳴だけだ。