「精進しろよ。」
地面に倒れ、荒く息をする芦多を見下ろし、正隆は言った。
返事をする力も残っていない。
なのに、どうして正隆はあんなに元気なんだ?
手渡された水を飲みながら、芦多は正隆を凝視した。
「芦多。」
「何だ?」
「お前、好きな女でも出来たか?」
芦多はぐったりと目を閉じた。
「どうしてそんなことを。」
「いーや、なんとなくだ。」
芦多は起き上がり、正隆の隣に腰を下ろした。
「当たり、だ。」
正隆は驚いたように芦多をみた。
まさか、肯定するとは思っていなかったようだ。
「なんと!」
ぎょろりとした目を見開いて、言葉を無くしている。
「俺も人間だ。」
「……知っている。」
ポンと優しく肩に手が置かれる。
「型の人間が異質だとは言っとらんぞ。」
「あぁ。」