今夜は守護者である灯世たち一族が仕えている山城の夜会だ。
母はこの国、三芳ノ国(ミヨシノクニ)の領主である辰太郎(タツタロウ)に、そして灯世は辰太郎の息子、辰之助(タツノスケ)に直属の守護者として仕えている。
八重は大守護者という高い位をもらっている。
その為、二人は夜会に重要客として呼ばれたのだ。
とうとう、やっと、16を越し、夜会に出席出来る。
今は冬、紅葉が色づき始める秋に生まれた灯世にとって、四季に一度しか開かれない夜会に参加出来るのは初めてだった。
やっと、一人前になったような気がする。
それほど今夜は灯世にとって憧れであり、一つの目標だったのだ。
胸を躍らせながら、湯で身体を綺麗に洗う。
そして、身体を拭いた後、香を焚いておいた薄い肌着を着た。
部屋に戻ると、待っていた使用人に綺麗な着物を着せられ、髪をきっちり梳かされた。
自分の髪がたちまちサラサラになっていくのがわかる。
最後に結わえて簪を差せば完成だ。