あたりを見回すと、まだ席に着いていない人も多い。



本当に、大事にならないでよかった。



ふと、障子の影に千歳を見つけた。



ひらひらと手を振っている。



本当に、使用人に向いていなさそうな人。



灯世はクスリと笑って会釈した。



そういえば…。



芦多に叱られている千歳と、辰之助を見比べ、灯世は目を見張った。



3人とも、よく似ている。



特に、芦多は目元がそっくりだ。



強いて言えば、芦多は凛として見える。



千歳の目は、もう少しいたずらだ。



こんなに、似ているものなのだろうか。



灯世はまじまじと戯れている二人を観察した。



背は芦多の方が高い。



だが、決して太いわけではないが、千歳の方ががっしりとして存在感がある。



そして、辰之助はどちらよりも華奢で、緩んだ表情だ。



似ているのに、似ていない。



灯世は可笑しくて笑ってしまった。