灯世はこっそりと観察してみた。



黒く艶やかな長髪。



少し黄味がかった肌。



黒目がちな瞳。



眉は細く、スラリと目の上に左右対称に。



唇は薄い色。



身体はやや細身で長身ときた。



まさに美男子だ。



灯世はあまり多く男と接する機会がなく、ごく少数しか知らないが、秋人は飛び抜けている。



と、観察していると、いきなり秋人が灯世を振り返った。



「あっ…!」



慌てて目を逸らす。



何か言われると俯いたが、秋人は黙ったままだった。



「灯世、着いたぞ。」



千歳の声に顔を上げると、いつの間にか広間に着いていた。



「早く。
みんな待っているだろ。」



ぽけっとしている灯世を呆れ気味に急かし、親切に席まで誘導してくれた。



しばらくそのまま待っていると、辰太郎もやって来た。



どうやら、主役を待たせずに済んだらしい。



今更状況がわかり、灯世はホッとした。