「ありがとう。
今から私は灯世の前では秋人だ。」



微笑んで見せると、灯世は嬉しそうにくしゃりと笑った。



「気に入っていただけて嬉しいです。」



よかった、と小さく呟く灯世が愛しい。



と、障子の向こうから、声がかけられた。



「いるか!?」



ハッとお互い顔を見合わせる。



感覚的に、灯世はここにいるべきではないのは彼女にもわかったようだ。



「こっちへ!」



無声音で会話し、灯世を部屋の一角にある押し入れに隠れさせる。



扉を静かに閉めながら、芦多は声を張り上げた。



「いるぞ!」


「大守護者の娘がいなくなった。
お前も探すのを手伝ってくれ!」



押し入れで少し衣擦れの音がした。



「わかった、すぐ探しに出る!」



話が終わると、型仲間はすぐに走って行った。



「もう行った。」



言って扉を開けると、唇を引き結んだ灯世が座っていた。



「申し訳ありません。」


「大丈夫、灯世のせいではない。」



優しく声をかけて、灯世を押し入れから出す。



「すぐに行けば、まだ大事になるのは押さえられる。
さあ、案内しよう。」



だが、腕を引くが動かない。



「どうした?」



尋ねるも、灯世は顔を伏せたままだ。