芦多はそっと、灯世の頬を撫でた。



痛かったんだろうか。



苦しかったんだろうか。



自分を庇って、死ぬなんて。



それは、自分の役目のはずだったのに。



すすり泣く声が、聞こえる。



芦多は、泣けなかった。



頭が真っ白なだけで、何も考えられない。



ただ一言、灯世に謝りたい。



自分は彼女を振り回すだけ振り回して、幸せにするどころか、死なせてしまった。



愛しているという、台詞しか吐かなかった。



意識が遠のいていく。



灯世、会いたい。



もう一度、目を開けてくれるならなんでもするのに。



愛してる。



そう呟いた直後、芦多の身体は地面に倒れた。