「芦多様!!」


「ご無事ですか!?」



声が聞こえて、複数の足音が近づいてくる。



「灯世様がこちらに駆けていかれたはずなんですが…。」



兵士の息をのむ声が聞こえた。



「血…。」



いや、これは、灯世のものではない。



芦多はゆっくりと振り向いた。



「灯世は、外傷はない。」


「よかったぁ。」



追いついてきた男達も安堵する。



芦多は首を振った。



もっと、深刻だ。



どこを治療すればいいのか、わからないんだから。



しばらく兵達は囁きあっていたが、ふと芦多の様子に気がついて、一人が声をかけた。



「芦多様、どうかなさいまいた?」



声をかけても動かない芦多を不審に思って、彼は顔を覗き込む。



「どうした?
芦多様は?」


「あ、敦賀。
様子がおかしいんだ。」



その声をとらえ、ああ、敦賀が来たかと頭のはしで思った。



「おかしい?
芦多様?」



敦賀をゆっくり振り返る。



「敦賀、灯世が…。」



言うと、敦賀は顔を真っ青にしてしゃがみ込んだ。



その敦賀に、仲間が説明をする。