芦多は危険だなと警戒しながら、刀を奪う隙を窺った。



高齢のなずだから、きっと体力に無理がでる。



若さを武器にできるはずだった。



「主、姫との関係は?」


「貴殿に言う筋合いはない。」


「恋人か?」



知っているのか?



ならどうして問う。



苛立ちを押さえ、冷静さを保つ。



「領主に対する裏切りだな。」



愉快そうに、蛇儒は笑った。



…どうして、どいつもこいつも自分たちの関係を笑う?



放っておいてくれ。



「やかま…!」



肩口に鋭い痛みが走った。



え?



後ろを振り返ると、カラス。



丁度、肩上を飛んでいた。



突かれたか?



みると、赤く血が滲んでいた。



…使い魔め。



向かいでは、蛇儒が笑っている。



「今日は、姫はいないのか?」



答えなかった。



「護ってくれる守護者も、いはせんぞ。」



意地悪く、蛇儒は笑う。



灯世は、隊全体を護ってくれているはずだ。



自分のことは、自分でどうにかする。



芦多は鋭く蛇儒を睨んだ。