***



そろそろか。



芦多は空を見上げ、太陽の位置を確認した。



燦々と輝くそれは、芦多の頭上で笑っている。



血糊に汚れた太刀は、その光を受けて生々しく光った。



「芦多様、優勢ですね!」



隣で敦賀が上ずった声を上げる。



芦多は、落ち着いた気持ちで頷いた。



だいぶ、こちらも戦闘慣れしてきた。



もともと戦士の能力は高いらしく、彼らはよく働いてくれた。



芦多としては頼もしい限りである。



何より、側近のように付き従う敦賀には、多大な信頼を寄せていた。



「来ます!」



敦賀の横に立ち、構える。



敵国の兵士が、束になって襲い掛かってきた。



「奴らも芦多様の首を取ろうと、必死ですね。」



敦賀が嘲るように言う。



そしてその声には、芦多を死なせないという自信が垣間見えた。



灯世の予言の時間が丁度今なので、芦多としては油断できなかった。



注意を払い、太刀を振るう。



向こうも疲れていたのか、動きが鈍かった。



「楽勝。」



敦賀の弾んだ声が聞こえる。



「油断はするなよ。」



すかさず釘を刺すと、敦賀は「わかってますよ」と顎を突き出した。