「どこに?」


「戦場に決まっているだろう。」



そう言うと、爪鷹ははたと動きを止めた。



「なんだか自分の隊が動かないもんだから、ピンとこなかった。」


「ははっ。」



芦多たちには当たり前のことが、爪鷹の隊では珍しい。



きっと、逆に芦多が二番隊の駐屯地に行けば同じ感覚なんだろうなと思った。



「あ、灯世!」



と、爪鷹が伸び上がって大きく手を振った。



芦多も振り向く。



灯世が驚いて目を見開いていた。



「爪鷹さん!」



駆けてくる姿が危なっかしい。



木の根につまづきはしないかと心配になった。



「どうしたんですか?」



キラキラと顔を輝かせる灯世。



「ちょっと芦多に会いたくなって。
来ちゃったんだ。」


「そうですか。
身体は?
お変わりないですか?」


「ああ、元気だよ。
俺達の隊は芦多のとこと違って、戦闘には加わらないしね。」



そうですか、と灯世が安堵のため息を漏らす。



その姿が本当に気が抜けたように見えて。



ふと、自分はどれだけ灯世に心配をかけているんだろうと思った。



今更だが。