芦多の手が、灯世の胸を揉みしだく。



初めての感触に、灯世は小さく声を漏らした。



身体が硬くなると、止めてくれるのに、芦多は構わずに手を這わせる。



「あ…。」



身体がピタリとくっつく。



芦多の息遣いがよく聞こえた。



手に力が増す。



灯世は芦多に口付けをせがんだ。



すぐさま期待以上に返ってくる。



「芦多、様…!」


「なんだ。」


「あっ、芦多様!」



意味もなく、芦多の名前を連呼する。



芦多が灯世の身体を反転させ、手を脚にかける。



これから起きるであろうことに期待が膨らんだ。



朝の静けさに、二人の息遣いだけが響く。



「灯世。」



灯世は身体を折ってきた芦多の背中に腕を回した。



直後、望んでいた衝撃。



「いい顔してる。」



声を我慢している灯世の耳元で、芦多は囁いた。



二人は昨晩と対称的に激しく互いを求めた。



「ああっ。」



今までで一番容赦なく、芦多は灯世を抱いた。



手が、身体中を愛撫する。



快感を感じながらも、どこか不安だった。



灯世の身体を案じる素振りを見せていたのに、激しく触れる芦多。



恥など忘れ、執拗に芦多を求める自分。



何か、起こりそうな気がして怖かった。



とは言っても、快感が頭をほとんど占めていたが。



こらえ切れない自分の嬌声が響く。



芦多も余裕がなさそうだ。



「ッ、灯世!」



返事をする力がない。



ただ、荒く呼吸を繰り返した。



「愛してる…!」



ここら辺から、灯世の記憶は曖昧になった。













夜が完全に明け、起きだしたとき、二人して身体の軋みに呻くことになった。



今度から、間違っても地べた同然の地では寝ないようにしようと誓った。