「大丈夫、謝ることじゃない。」


「でも、私…。
嫌なわけじゃないのに、好きなのに…。」


「わかってる…。」



唇で口を塞ぐ。



ようやく灯世は大人しく芦多を受け入れた。



今度は事前通知はないほうがいいか。



芦多は灯世がくたりと力を抜いた瞬間を狙って、身体を重ねた。



息をのむ声が聞こえる。



力の抜けた灯世を抱きかかえるようにして支え、芦多は灯世の首筋に唇を這わせる。



時折、静かな林に灯世の声が響く。



抑えてはいるのだが、波は襲ってくるらしい。



芦多は灯世を抱え直した。



「すみません、私、力が…。」



自力で立てないことを謝っているらしい。



確かに、今や灯世は脚を小刻みに震わせていた。



「いや…ッ。」



こんなところで抱く芦多が悪い。



辛いだろう。



木の幹にもたれるようにして体勢を保っている灯世の白い肌に、芦多の陰が出来ている。



「あっ…ッ。」



びくりと灯世が身体を震わせた。



「芦多様…!」


「なんだッ。」


「芦多様ぁ!」



灯世の頬を涙が伝う。