芦多は驚いて目を開いた。



「え、と、あの…。」



驚いている芦多を見て、灯世が不安そうに一歩下がった。



「私、何かおかしいことをしましたか?」


「いや…。」



ただ、灯世から長い口付けをされたことはなくて。



「嬉しいな…。」



頬が緩む。



ああ、これが兵達の言っていた甘い声か、と自分でわかった。



「嬉しい。」



繰り返すと、灯世は綺麗に笑った。



「灯世、こっちへ。」



腕を広げると、迷いなく身体を預けてくれる。



ああ、嬉しい。



くせになる。



顎に手をかけ、上を向かせる。



芦多はゆっくりと唇を重ねた。



だいぶ林の中まで分け入ったからだろうか、辺りは静かで互いの息遣いしか聞こえない。



背中に回った灯世の手が、ギュッと芦多にしがみつく。



愛しい。



芦多は素早く灯世の着物の中に手を滑り込ませた。



ビクリと、灯世が反応する。



拒むかと思ったが、灯世は一層強く芦多に抱きついただけだった。



…これは、了解を得たことになるのか?



一瞬考えたが、今更断られても…。



勝手に結論付け、芦多はそっと灯世の着物を肌蹴させた。