山城の屋敷で暮らし始めて1ヶ月が経った。
未だ、八重は帰って来ていない。
心配で心配で、灯世は気がおかしくなりそうだった。
そして、疲労もだいぶ溜まった。
昼夜問わず、結界のことしか考えられないのだ。
食事も思うように喉を通らない。
それどころか、睡眠さえ取れなくなってしまった。
1日中部屋から出ず、会う人間も限られている生活は、精神的に応えた。
灯世はそれほど活発な方ではなかったが、少なくとも中にこもる性格ではなかったのだ。
肉体的にも精神的にもきついこの生活が、灯世には嫌で嫌で仕方がなかった。