身支度を急いで終わらせ、灯世は廊下を走るようにして玄関に向かった。



丈が待たせてあった馬車に乗り込み、窓から顔を出す。



「丈、一緒に行ってはくれない？」



すると丈は伏し目がちに言った。



「申し訳ございません。
灯世様お一人でとのことで。」


「わかった。」



いささか寂しく思いながら、灯世は出してと御者に声をかけた。



ガタゴトと動き出すと、景色もそれに合わせて揺れる。



灯世は心拍数の上がった胸を押さえ、落ち着こうと息を吐いた。



何なんだろう。


灯世
は八重を通じてしか辰太郎と話したことがない。



守護者としての力もまだ見せていないし、まじないもかけた覚えはない。



思い当たるのは、ただ一つ。



八重に何かがあったのだ。