それでも、少し前から八重に色々と習っている。



まだ結界を一人で張るのは無理だけれど、作られたものをもたせるくらいには上達した。



「駄目ですよ。」



もう一度釘を刺された。



「わかっています。」



声を尖らせたのはささやかな抵抗だ。



まず、認められるくらいに術が使えるように、鍛練しようと決めた。



スッと立ち上がる灯世に、縫い物をしていた丈がハッとして声をかけた。



「どちらに行かれるのです?」


「座禅。」



一言答えると、いつも使う修行部屋に入った。



正座をし、心を空っぽにする。



これがなかなか難しい。



心を空っぽにするなど、到底簡単なわけがない。



それでも何時間も部屋にこもり、灯世は手を合わせ続けた。