「へぇ。」
怒って叫ぶ耶粗と違い、爪鷹の第一声はそれだった。
やっぱり、と二人はため息をつく。
目の前に柱を殴りつけている耶粗と…にっこりといつもの柔和な顔つきで座っている爪鷹がいた。
「で。」
ビクリ、と千歳が爪鷹をみる。
「どうするんだい?」
芦多、と千歳に急かされ、おいと思いつつ口を開く。
「戦うしかないだろう。」
「作戦あんのって訊いてるの。」
「あるわけないだろうそんなもの。」
「芦多考えてよ、賢いんだから。」
「こういうときお前の方が頭が回るだろう。」
「回んないよ。
芦多考えてよ。」
「面倒を押しつけるな。
みんなで考えるんだ。」
「やだよ。
千歳と耶粗なんか混ぜるくらいなら猿のがマシだよ。」
「「おい!」」
ここまでハラハラとおとなしく聞いていた二人が口を挟んだ。
が、文句あっかと睨まれて猿のように小さくなる。
「なんか恐いよあの奇人達。」
「な。
なんか爪鷹と芦多もお互いにイラついてらっしゃるし。」
こそこそと二人は陰に移動する。
物を投げられでもしたら大変だ。
案外、怒ると爪鷹は子どもになって手が…いや、話がつけられない。