「それに、占などただの気休めですしね。」



八重は最後にちょっとつけ加えた。



みんな驚いて八重に注目する。



本人は涼しい顔だ。



この人も大物だな。



芦多はこっそりと笑った。



「来た。」



耶粗が構える。



続いてみんなが見上げると、大蛇が空から見下ろすようにして立っていた。



「これが氏神かよ。」



千歳が息をのむ。



そうしている間に、八重が前に進み出た。



そして手を合わせる。



灯世もそれに倣っていた。



と、灯世が目を見開き、結界を作った。



え?とみんなが首を傾げた刹那、空気が揺れた。 



灯世が唇を噛んで大蛇を見据えている。



大蛇は鎌首をもたげて、こちらに首を突き出していた。



「灯、灯、灯世?
こいつ、俺らを飲もうとしてたわけ?」



千歳が吃りながら灯世を呼ぶ。



灯世は目をそらさず頷いた。