「つらいか?」


「いえ。
ただ、腰が抜けてしまって。」


「ん…。」



芦多は優しく笑って、灯世に口付けた。



いつもよりゆっくりで優しく。



灯世も応えるが、なにぶん力が抜けてしまっている。



芦多はまたクスリと笑って歩き出した。



廊下に出ると、芦多の目が鋭くなった。



足音も消す。



すごい、と灯世は息をのんだ。



灯世を抱えているのに。



……型、だから? 



灯世は静かに芦多の横顔を観察した。



時々、芦多はちらりと灯世をみた。



気に掛けてくれているのがわかって嬉しかった。







無事に二人は芦多の部屋に辿り着いた。