***



灯世に会うな、か。



芦多は布団に横になった。



さっき八重に呼ばれて、説明された。



内容は理解出来た。



最初からわかっていたからだ。



自分と灯世の住む世界が違うことくらい、出会ったその瞬間から感じ取っていたさ。



だからといって、惹かれる心を抑えることも出来なかった。



長いため息をつく。



難しい。



自分が型でなければ、灯世が鍵でなければ。



自分達は不運にも特別な立場にいる。



しかし、芦多は諦めていない。



正直、灯世のように神を本気で信じてはいないし、実際いる確証もない。



灯世の手間、おとなしくしていようと言ったが、芦多は常に抜け道を探していた。



何とか、この状況をひっくり返すことは出来ないか。



芦多が天井を見上げていたときだった。



突然、屋敷が揺れた。



地が、突き上げられたかのような衝撃。



芦多はバッと飛び起きた。



何事!?



廊下に飛び出すと、他の型仲間も次々と顔を出した。



その中には当然千歳達もいる。



気付いた4人は互いに近寄った。


「さっきの何だ?」


「わからない。
地震か?」


「いや、邪気を感じた。」


「だよな?
また敵か?」



耶粗が芦多に問う。



「わからない。
取り敢えず、灯世のところへ。」


「何か気付いているかもな。」



早速4人は早足に歩き出す。



嫌な予感。



あのとき感じた力は何なんだろう。