「そんな…。」


「身分も違うし、複雑なの。
絡まりあっているのよ。」


「だから?」



だから、会うなと。



「貴方達がここの氏神様を怒らせるかもしれないと。」


「もう今までずっと会ってきましたけど、何もなかったわ。」


「だから余計。
これ以上氏神様を怒らせることのないように…。」



灯世は遮って叫んだ。



「嫌!」



嫌だ。



もう、離れたくない。



「灯世!」



八重も負けじと怒鳴る。



「独り善がりでお役目を放棄するつもりですか!?」



灯世は口をつぐんだ。



独り善がり…。



「氏神様のお力無しには生きていけないわ。
今はなんとか敵国の攻撃を防いでいるけれど、氏神様を敵に回したら…。」



わかっている。



この国がもう保たないのは、薄々感付いていた。



「わかって。」



八重が意地悪で言っているのではないのはわかっている。



頭ではわかっているけど、離れたくない。



そう思うのは灯世が悪いのだろうか。