「それともう1つ。」



言わなければいけないことがあるの、と八重はうつむいた。



「芦多さんともうこれ以上会わないで。」


「え?」



灯世は耳を疑った。



「どういうこと?」


「占で、貴方と芦多さん、つまり鍵と型の運命が交差すると天変地異が起こると出たの。」


「……型?」



八重は首を傾げた。



「ええ。」



知らない?と問う。



「何を?」


「芦多さんが型だということ。」


「型って?」



八重は口を隠した。



型とはなんなんだろう。



母様、と呼び掛けると、八重は首を振った。



「芦多さんは隠していたのね。」


「型って何?」



話せば長くなると前置いて、八重は話し出した。



初めて聞く話だった。



そして、何とえげつないんだろう。



「つまり、芦多様は辰之助様の身代わりとなるべくここへ連れて来られたの?」


「ええ。」


「千歳さん達も?」


「ええ。」



そんな…。



親がいないと、千歳は悲しそうだった。



耶粗さんも。



子ども達を親から引き離して、身代わりにするなんて。



必然的に何人かは将来死ぬ。



酷い。