「愛する人と一緒になれたらと、私もどれだけ思ったことか。」



八重はぽつりと呟いた。



「灯世、愛していますよ。」



私もです、母様。



行こう、と芦多は灯世の手を引いた。



今さら、灯世は胸が熱くなってきた。



これから、八重と会えなくなる。



駆け落ちとは、代償が大きいものだ。



わかっているけど、灯世にはつらすぎる。



灯世は名残惜しげに八重を見た。



八重は相変わらず微笑んでいる。



灯世は芦多に引かれるようにして部屋を出た。













「灯世…。
頑張って…。」



八重は一人、呟いた。