千歳がその間に割り込む。



房姫は少し不機嫌そうになった。



「お前、里に毒を渡したろ?」



一瞬、房姫の表情が凍りついた。



それを二人は見逃さない。



「…なんのこと?」



姫らしい頬笑みで、誤魔化す。



が、そんなものに騙されてたまるか。



「辰清に飲ませるための毒、あんたが里にくれてやったんだろ?」


「知らないわ。
そもそも、里という女とも関わったことがないし。」



ぎり、と千歳が歯を鳴らす。



芦多も舌打ちしたかった。



しらばっくれるな。



「今までずっと調べてきた。
貴方くらいしか、犯人像が思い浮かばない。」


「芦多まで何を言うの?」



房姫はさすがに驚いた顔をした。



お気に入りの芦多にまで責められるとは思ってもいなかったんだろう。



芦多は構わずに房姫を睨む。



「灯世の息子を、里に殺させたな。」



握った拳が震える。



「芦多。」



千歳が芦多の肩を掴む。



わかってる、暴力は振るわない。



だが、だんだんと目がつり上がるのは抑えられない。