「よし、今夜は解散だ。
お疲れ。」



爪鷹の言葉でみんなが伸びをする。



かなり長い時間、同じ体制でいた為身体がこって仕方がない。



「おやすみ、芦多。」



ニッと笑う千歳に微笑み返し、芦多は行灯の火を消した。



たちまち、辺りが見えなくなる。



しかし、芦多の目はすぐに闇に慣れた。



芦多はゆっくりと立ち上がり、外に出る。



身体を洗いたかった。



替えの着物をしっかり脇に抱え、芦多は近くの川に向かった。



川は屋敷のすぐ近くにある。



幼い頃から時たま抜け出していた唯一の場所だ。



芦多はさっと着物を脱ぎ裸になると、早足に川に入った。



冷たい。



夏とはいえども、さすがに夜の水は冷たかった。



それでも、芦多は頭まで水に浸かる。



そして、勢いよく身体を擦った。



顔も、腕も、足も。



身体中を洗った。