部屋に帰ると、障子の隙間から行灯の明かりが漏れていた。
既に千歳と耶粗は集合しているらしい。
「早いな。」
「俺が芦多を迎えに行く前に声かけといた。」
「なるほど。」
手際がいい。
中に入ると、寝転がっていた二人が起き上がった。
「お疲れ芦多ぁ。」
千歳が芦多の足を引っ張る。
「どう?
吐いた?」
「ああ。
得意げに話してくれた。」
「布団の中でね。」
横から爪鷹が付け足す。
千歳がへぇ、と口をすぼめた。
「結局、寝なきゃ話さないよな女って。」
「芦多なら楽々吐かせられると思ったんだけどなぁ。」
耶粗が残念そうに言う。
「気の毒だったよね。」
爪鷹は耶粗の隣に座った。
「いや。」
言いながら、芦多も爪鷹に倣って千歳の隣に座る。
「私が頼んだことだ。
嫌な役回りは私の仕事だろう。」
「灯世のことはみんな好きだから、俺達だって好きでやってんの。
指令とは違うんだからさ、芦多もそんなこと考えなくていいよ。」