「お疲れ~。」
外で待っていた爪鷹がひらひらと手を振った。
芦多は一瞬足を止めたが、すぐに歩き出す。
爪鷹は芦多の横に並んだ。
「やっぱりこういうのは芦多が適任だね。
女はみんな芦多の前には無力だ。」
「…こういうのは嫌いだ。」
「我慢しなよ。
灯世の為だろ?」
芦多はぐっと唇を噛んだ。
そうだ、灯世の為だ。
「他の女を抱くくらいなんだ。
芦多じゃなくて千歳なんか送りこんだら場が砕ける。」
「爪鷹はどうなんだ。」
「俺は御免だね。
あんな女、触りたくもない。
もし子どもでも出来たら面倒だしね。」
なら私はいいのか。
しかし、この件は芦多の頼みで動いてもらっているから文句は言えない。
いつか貸しを作ってやる。
「で、収穫は?」
「……決まりだ。」
「やっぱりか。
…でも、まだ解決してないね。」
そうだ。
里が単独であんな大胆なことをするはずがない。