芦多の目がきらりと光った。



「ん…ッ!」



里は甘い声を漏らす。



芦多は耳を塞ぎたかった。



「それで?」



芦多は続きを急かす。



「辰清は?」


「泣きましたよ。
母親に助けを求めて。
馬鹿ですわ、私の渡した茶を疑いもせずすぐに口に含むんですもの。
どれだけ喉が乾いていても、少しは疑うかと思っていたのだけれど、案外馬鹿でした。」



芦多は思わず布団を握りしめた。



ガッとしわが寄る。



「内緒ですよ?」



最後に里は付け足した。



灯世…。



灯世。



お前の息子を殺した女が今、目の前にいる。



殺すなというのは拷問だ、爪鷹。



灯世のつらそうな顔が浮かぶ。



……くそっ!



芦多は腕にぐっと力を込めた。



里が身体をそらせた。