「芦多様…。」
肌が触れ合う。
芦多か顔をそらした。
こういう役回りは好きじゃないが、灯世の為だ。
布団の中で、里は恍惚とした表情を見せた。
芦多は無感情にそれを見る。
里は口付けをせがむ。
芦多は気付かないふりをしてそれを流した。
「ところで、さっきの紙の中身は何だ?」
「…毒です…っ!」
「……毒?」
里は芦多の声色が変わったのに気付かない。
「毒など、使い道はないだろう。」
「ありましてよ。
消したい者に飲ませるんです。」
芦多は首を傾げて見せる。
里は得意げに言った。
「実は、灯世の息子を殺したのは私ですのよ?
ふふっ、あの灯世の惨めなこと。」
里は善がりながらも笑った。
「里が…?」
「はい、簡単でした。
灯世の奴、子どもを置いて出て行ったのです。
それで、私は辰清に毒入りの茶を勧めた。」