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芦多は人気の少ない夜に、里の部屋を訪ねた。
今夜、里の夫は留守で、それは千歳が調査済みだった。
障子の外から声をかけたが、返事が返ってこない。
そっと覗くと誰もいなかった。
「いない…。」
まぁ、楽でいいか。
芦多はじっくりと部屋を見渡す。
そして隠れ場所を探した。
部屋全体を見ることが出来て、すぐに飛び出していける場所。
ついたてが目に入る。
着替えるために入って来られたら困るが、まあ支障はないだろう。
陰に隠れてしばらくすると、里が戻ってきた。
幸い、侍女は連れていない。
芦多はついたての隙間からじっと里を目で追った。
里は芦多が隠れているとも知らず、部屋の中を歩いている。
さあ、尻尾を出せ。
芦多達は、里が毒を盛ったとみている。
この屋敷を堂々と歩きまわれかつ、ある程度の権力を持っている。
動機だって十分だ。