花がたくさん咲いている庭。
木々も青い葉や小さな花をそれぞれ枝に咲かせている。
灯世と散歩した、中庭だ。
そこには、灯世と侍女がいた。
久し振りに見る灯世は、やはりどこか大人びていて、少女から女性へと変化していた。
しかし、優しい目は変わらない。
その眼差しも。
しかし、それが注がれているのは、自分ではなく
一心に砂をこねている男の子だった。
目を見開く芦多の隣で、千歳が低い声で言う。
「灯世の息子だ。」
言われずとも、分かった。
灯世は明らかに昔よりも綺麗な着物を着て、隣には専属の侍女。
扱われ方が目に見えて変わっていた。
それは、きっと…。
「名前は、辰清だ。
政隆が考えた。」
意味は、清くなれ、と。
男親に似ず、清く正しくあれ、と。
「もう、三歳になったとよ。」
ということは、自分がここを離れてからすぐ…。